【読書感想文】十字架のカルテ~本の紹介~
今週のお題「読書感想文」について
皆さんは夏休みの宿題といえば何を思いつきますか?
自由研究、絵、ドリルなどなどたくさんあったと思います。
私は小学生のころから生粋の理系っこであったため、自由研究はさほど苦労せずにクリアしていました。
しかし、一番苦労し、最終日まで残されていたもの、それは毎年読書感想文でした。
今でもビジネス本はよく読みますが、小説は途中で飽きたり、最後まで読めても結局何が言いたかったんだろう、主人公の気持ちはわからない、といったことが多い私ですが、心に残るものがあり、読んでよかったと思えたので紹介させていただきたいです。
この本を選んだ理由
十字架のカルテはなんといっても話題作であるから。
作者である知念実希人さんは本屋大賞に3年連続でノミネートされている。
また、読書メーター読みたい本ランキング第1位(2020年1月17日~2020年2月16日)にも選ばれている。
更に、実際に医師免許を所持する作家さんの医療を舞台としたミステリーということで、非常に興味がわいた。
私自身、医療関係の大学に通っていることもあり、医療が舞台のミステリーはとても楽しめそうだと感じた。
本全体を通して感じたこと
一番に感じたことは、精神疾患の描写がとてもわかりやすくリアルにかかれてあるなということ。
この本のストーリーは、犯罪を犯した人が心神喪失状態にあり、自身の正常な判断ができない状態であったか、または詐病(利益の享受を目的に(ここでは罪が不起訴になること)病気であるように偽ること)で、実際は正常な判断を下すことができたかどうか、というところが焦点となり、診断を進め、事件の根本にある闇を暴いていく内容である。
『心』にスポットライトを当てているので、心の闇を深く覗き込んでいるかのような感覚になり、物語に入り込めた。
心神喪失者の心情を描く場面では、ある種のホラーのような、背筋がゾクゾクするような感覚を味わえた。
また、ただの心神喪失者のストーリーではなくミステリーでもあるため、精神病の患者の行動と事件の事象との関連性が一つの線で結びつき、事件の解決にまで導かれる様子はとてもすっきりするものがあった。
読破後の感想
心神喪失者が犯した罪、不起訴になった場合は誰がその十字架を背負うことになるのだろう。
確かに犯罪はそこに存在していて、心神喪失状態であったとしてもその罪が消えてなくなるわけではない、心神喪失者によって殺された人が戻ってくるわけでもない。
刑法39条では1.心神喪失者の行為は、罰しない。2.心身膵弱者の行為は、その刑を減軽する。とある。この法に関しては社会的にも賛否両論あると思われる。
私自身否定的な考えを持っていたことは事実だ。
しかし十字架のカルテを読破後、加害者側の心の闇に触れ、自分の意思とは関係のないところでの事件を引き起こす可能性が見え、他人事ではないように感じられた。
もちろん、心の病気は他の疾患と違って検査値やデータに明確にでてはこない。
鑑定の制度や鑑定士の数の不足など、まだまだ完璧な制度ではないとは思われるが、この本のように心神喪失状態であるか、詐病であるか、真実を見出し、被害者はもちろん、加害者も正しく救われるようになってほしいと願う。
終わりに
高校時代に親友を殺され、心神喪失者であるゆえに加害者が不起訴となったことに疑問をもつ主人公が精神鑑定の助手として、様々な事件にかかわっていくストーリー。
1話ごとに1つの事件に関わり、少しずつ成長していく物語である。
一見独立したストーリーのようだが、関連性もあり、一気に読み進めることができるようになっている。主人公の成長も楽しむことができる。
読んだことのある人はコメント欄で是非感想を聞かせて頂きたいです。
まだ読んだことのない人は、ワクワクを求めて是非読んでみて下さい。
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